「役目を終えた弦に新たな命を」YADALabインタビュー

「役目を終えた弦に新たな命を」YADALabインタビュー

2022-07-29 作家インタビュー

YADALab / アーティスト

ギター・ベース弦を使って作品を制作するYADALabさんに、コンセプトやテーマ、作品に対する想いについて詳しくお話を伺いました。


YADALab

YADALab

2007年よりWEB/グラフィックデザイナーとして様々な会社で従事し、これまでの実績として、MISIA、藤井フミヤ、サカナクション、でんぱ組.inc等のアーティストコンテンツ制作や、パーソナルロボットPepper専用アプリなどに携わる​。2017年より個人としての可能性・存在意義を追求するため、オリジナルデジタル作品の展示・掲載。​2019年よりバンド・作曲経験を生かした作品を作るべく、ギター、ベース弦を使った次世代アートを展開。

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Q. YADALabさんはグラフィックデザイナーのほか、さまざまなお仕事に従事されていらっしゃいますが、アート作品の制作を始められたきっかけや動機など教えていただけますでしょうか。

いわゆるサラリーマンデザイナーとして従事していく中で、デザインツールの発達により一般の方も作りやすい環境になり、将来的に職業としてやっていけるか不安に感じ、個をもっと世に発信していかなければと漠然に思い(自分の作風・世界観を軸としてやっていきたい)、5年くらい前から並行して始めました。



Q. YADALabさんの作品にはギター・ベースの弦が使用されていて、唯一無二の存在感を感じます。立体、平面、デジタルコラージュ、ミクスドメディアといった多様な表現方法で制作された作品は、金属の硬さや冷たさという印象とはまた違う表情を知ることができました。作品を拝見していくなかで、様々な表現を試みている実験(研究室=Lab)という言葉が思い浮かんだのですが、作品制作のコンセプトやテーマについて教えてください。

テーマは再構築。

役目を終えた弦に新たな命を与え、消耗品だけでは終わらせない、アートとしての可能性を追求しています。さまざまな角度から弦を作品として構築していくのはとても新鮮で、弦以外の作品にもいい刺激になっています。


Q.作品に弦を使ってみようと思われたきっかけはありますか?また、制作時のエピソードなどもお聞かせください


私自身PCで制作するデジタルアートが主軸にありますが、デジタルとは違う、物体として存在する1点ものを作りたいと考えていた時、いつも捨ててしまう弦を使って何かできないかと思い、制作をはじめました。最初はラインアートのような感じで、いち鉄線として扱った作品を作っていきました。


苦戦したのは、曲線を表現する時です。 弦単体では曲線が保てないので、手で曲線にしながら弦を固定するワイヤーの穴の位置を決めてから、ワイヤーを通して弦を固定するので地味に時間がかかります。


Q. YADALabさんが展示に合わせて作曲されたBGM拝聴させていただきました。BGMがあると弦がうねるように動き出しそうで気持ちも高揚して感じ方にも影響を与えていることに驚いたのですが、BGMと作品の相互作用は意識されて制作されているのでしょうか?

もともとバンド経験があり、作曲もしていたので自分が伝えたい雰囲気や意図を聴覚でも感じてもらうほうが、より伝わるのではないかと思い制作しました。正直、楽曲の方が時間がかかっていて、どちらが主なのかわからなくなりますが(笑)



Q. 音楽に合わせて思わず体が動き出しそうになりますが、普段どのような場所で制作活動をされていますか?

自宅にて制作しています。作品によってはBGMをかけながらやったり、まちまちです。


Q. ルーティンやリフレッシュ方法などありましたらお聞かせください。また、どのようなときにインスピレーションを感じますか?

行き詰まった時は1日以上置いて作品から離れます。あとはギターを弾いたりします。あと、新しいアイデアが思いつく時はシャワーを浴びている時が多いです。一説には瞑想状態に近くなり、脳がリラックスするからだそうです。


Q. ご自身の作家活動において影響を受けた人物や事柄などはありますか?

サカグチケンさん、依田耕治さん、ダリ

サカグチさんはアーティストのアートディレクションをされた方で、LUNA SEA,BUCK-TICK,hide,THE BLUE HEARTSなど数々のアーティストを手掛けていて、大胆かつアバンギャルド、ときには繊細な表現でアーティストの魅力を最大限に引き出しています。依田さんは サカグチさんの事務所でもともと勤めていた方で、主にコラージュアートが特徴的な作品が多く、DIR EN GREY,the GazettE,BABYMETALなどこの方も数多くのアーティストを手掛けていて、私がコラージュに目覚めたきっかけになりました。ダリは常識にとらわれない独特の世界観と細かな描写がとても好きです。



Q.今後、作家活動で挑戦したいことはありますか?

・いらない弦を収集できるような仕組みを作る(いらない弦ください!)

・著名なギタリスト、ベーシストの弦を使った作品

・大きなサイズの作品


今後の展示情報

「個展 (タイトル未定) 」(atカフェフランジパニ)
2022年10月23日(日)~11月12日(土)

INTERVIEW

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